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「あんな女に触られて、臨戦態勢になってるなんて自分の身体ながら情けない」
ハーッと息をついて額を抑えた樹利に、
「し、仕方なかったんですよ、自分の意思じゃどうにもできなかったし、あの人のこと好きじゃないのに……。
身体を押し付けられたりしたら、なんだか変な気分になって」
と可愛は目を伏せながらモジモジとそう告げた。
「へぇ、気持ち良くなったんだ?」
「だって、なんていうか……。
男の人って大変ですね。
あんな誘惑を日々、かわして生きてる樹利さんってすごいですね」
そう告げた可愛に、樹利は目を開いたあとプッと笑った。
「別に大変じゃないし、すごくもないよ。
可愛が好きでもない男に触れたくないように、俺だって同じなだけで」
「そ、そうなんですか?」
「それでも男は残念ながら刺激を受けると反応するだろ?
好きでもない奴からの刺激で反応するなんて嫌だから、そうなる前にシャットアウトするんだ」
「あ、なるほど」
確かに、嫌なのに身体反応してしまったことを告げられた時、すごく悔しかった。
自分が情けないような気持ちになって。
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