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可愛も樹利の背中に手を回し、何度もキスを交わした。
舌がからめとられ、身体が発火するように熱い。
ああ、キスをしている時は、どっちがどっちなんて、
分からなくなるんだ。
可愛は目を閉じながらそう思いながらも、そっと目を開けると、そこにあるのは樹利の姿がではなく自分の顔で、思わず苦笑が浮かんだ。
「いつまで、このままなのかな」
「ああ、それについて俺、少し考えたんだけど、多分昨夜エッチした時に、初めて『同時』にイッたんだよ」
「えっ?」
「今まで『ほぼ同時』くらいはあっても、まったくの同時ってのはなかったと思うんだ。
同時にイッたあと俺たち脱力して、そのまま寝ただろ?
きっとあのイッた瞬間、なんかのアクシデントでおかしなことになって、こうなったんじゃないかって。
大陸の先住民族の間では行為と絶頂が宇宙の力を引き出すと信じられて儀式に行なわれたりするらしいし、時としてこういうことも起こるのかなと。
っていうか他には理由が考えられなくて」
そう言って腕を組んだ樹利に、
「ってことはもう一度した方がいいってこと?」
と可愛は身を乗り出した。
「ああ」
「って今の、この姿の私たちが?」
「あ……ああ」
と樹利は嫌そうに目をそらしながら頷いた。
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