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「あーもう!うるっさいな。」
私はヒステリックに怒鳴る。周りのメイドが肩をびくつかせる。
---だってうるさいんだもん。
私はそう思いながらズカズカと父の部屋に向かっていく。
「入るからね!!」
ノックもせずに入る。私がドアを開けた先にいたのは呑気にサックスを吹く父。
私は溜息をついた。
「あのさぁ…。私今テスト期間中で勉強したいんだけど。」
「ん?してきなさい?」
ポケっとした顔で父は言う。この人馬鹿なの?
「だからさ。勉強中に楽器の音聴こえるとすっごい耳障りなんだってば!」
「ん。ほら、いつものあれは?…っとイヤホンは?」
「こないだ壊れたって言わなかった?記憶力衰えてるんじゃないの?」
「あー。そうだっけか?じゃあメイドか執事に頼んで買ってもらいなさい。」
何でもこの人は人任せだ。そーゆーとこ、うざい。嫌い。
たまには自分で解決しようとしてみろよ、と言いたい。
でも今更言っても意味ないし面倒臭い。
「はいはい。じゃあ頼みますよ。」
冷たく言い放ってドアを閉めてやった。
父は少し眉を下げていた。可哀想とはちっとも思わない。
……ちっとも。…いや、ちょっとは思うかな…?
「どうされましたか?萌々乃様。」
二人の声が綺麗に重なる。
「お父さんに何か言われたの…?」
「えぇ、私の娘が困っているからそっちにいってくれ、と。」
「ふぅん。にしても貴方達本当いつも一緒ね。」
「まぁ、双子ですから。」
また綺麗に重なる。そう。この二人は双子なのだ。
姉の園田美雨(そのだ みう)と弟の園田雨隆(そのだ うりゅう)だ。
この二人は萌々乃と同い年の17歳だ。
同い年の為、二人は萌々乃と同じ学校に通っており、常に護衛をしている。
「…それでご用件は?」
美雨が訪ねる。
「あぁ、イヤホンを買ってきて欲しいのよね。この間壊れちゃって。」
「ちなみにデザインなどはどういたしますか?」
「白か黒がいいかな。頼んじゃっていい?」
「かしこまりました。じゃあ雨龍に行かせますね。」
「え!っと……はい。」
雨龍は一瞬躊躇ったが小さく返事をした。
…まぁ美雨の顔をみればその理由は一目瞭然なのだが。
「じゃあ行ってきますね。」
「有り難う」
萌々乃は笑顔で雨龍が買い物に行くのを見送った。
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