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「只今…帰り、ました。」
買い物から帰ってきた雨龍は顔を真っ青にしている。
「どうしたのよ。そのちっこいの。」
美雨が気にしたのは雨龍の方ではなく、雨龍の隣にいる少年だった。
「ちょっと色々あって…。」
雨龍はバツが悪そうに言う。
「どういうこと?」
私は首を傾げる。
事情を聞くと、雨龍が買い物に行った際に隣の少年が裏の道路でカツアゲをされていたという。それを見た雨龍は相手の人をボコボコにしたらしい。
ボコボコにしている最中、少年が仲裁しようとした所、雨龍が誤って少年を殴ってしまい少年を手当てしようと家に連れて来たらしい…って。
「馬鹿なの!?」
思わず声をあげてしまった。いや、だって馬鹿だろ。うん。
「す、すみません。」
雨龍が叱られたと思いしょんぼりとする。
それを見た少年は慌てる。
「いや、でも俺が運動神経悪かっただけだし。この人は助けてくれたし。大丈夫っすよ!だから怒んないで下さい…。」
少年は背が低いからか分からないが上目使いでこちらをみてくる。
なんとなく罪悪感が残る。私が悪いんですか…。
「その前に怒ってないから。呆れてるだけだから。」
「そ、そうなんでsy(」
ん?今噛んだ?絶対噛んだよな?そうなんでしゅかって言おうとしたよな?
あ…少年の顔があからさまに赤らんでいる。それをみた美雨は笑いをこらえ切れず爆笑する。
「ふっふふ…。この子面白いですね…。」
美雨はニヤケながら言う。美雨は基本Sなのでこういった子はイジリ甲斐があって面白いのだろう。
「ったく、止めなさいよお客さんに!」
はぁ、と溜息をつく。
「いいわ。私がこの子手当てするから。」
「え!?なんかすみません…。」
少年が謝る。
「いいのよ。」
「萌々乃様は手当てとかお得意だから受けてらっしゃい?」
美雨が少年の背中を押した。
「…はい。」
少年は会釈をして萌々乃の後をテクテクと歩いた。
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