十六夜(いざよい)の月
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「起きてるの?恭(きょう)くん」 膝の間を割るように手をついて前髪を払いながら、流里が僕の顔を覗き込む。 返事の変わりに、流里の指先から逃れるように顎を引くと、すっと彼女は立ち上がり窓に近づいた。 「昨日満月だったから、今日は十六夜の月だね」 夏とは違う、突き刺すような光を放つ月を見上げて流里は呟いた。
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