アレクの整備手帳 vol.1

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アレクの整備手帳 vol.1

201X.11.21.AM02:45 本日ボスよりメカニックリーダーに任命されたので、今日からこの手帳をつけたいと思う。 俺がまず提案したのは、ハルクのフォードGT、俺のマスタングへのニトロ・オキサイド・システム導入だ。 素材の到着は三日後、二日の作業を経て試運転を行う予定。 とても楽しみだ。 そして同時に本日は、レオナルド・クレンツェの審査日でもあった。 期待通り規定タイムとして設けた4分半を切ってくれた。 彼の乗るパガーニ・ゾンダの走りを見る限り、ストックのゾンダよりも拳動が不安定。 話によれば世紀の高額事故で廃車寸前だったゾンダFを元通りにしたとか。 特に変わったカスタマイズも見られず、我々ワイルドウイングが所有している数々の魔改造兵器と同じ印象は受け取れない。 しかし特筆すべきは、このレースで突然と現れたヒューガ・エストラーダ、並びに彼女が乗るランボルギーニ・ムルシエラゴ。 グレードはLP670-4 SV、最高グレードだ。 ムルシエラゴは4分半のみならず、4分さえも切った。 だがそれはムルシエラゴの運動能力と彼女のドライビングセンスだけではないように感じる。 なんなのだろう、ドリフトを抜ける際に見られる、あの不自然なトラクション。 研究の余地がありそうな車両のひとつとして挙げておこう。 もとよりスカウト予定だったミラノ最速の男、レオナルド・クレンツェ。 そしてそれに圧倒的大差をつけ勝利した謎の女、ヒューガ・エストラーダ。 我々ワイルドウイングの出す決断は、まだボスしか知らない。  WILD WING Mechanic   Alex Little
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