第1話『先輩がツンデレだった件について』

3/25
前へ
/91ページ
次へ
時が止まる。 俺は、その女の子から目が離せない。 目と目が逢う、瞬間好きだと気付きそうなほどの美少女だった。 何が起こったのかわからない。 俺の頭キャパシティーオーバーなう。 落ち着け俺。 まずやらなきゃいけないのは、あなたに話しかけたのは誤解ですと伝えるだけだ。 「お、おはようございます?」 「え?あ、おはよう?」 何言ってるんだ俺、早く誤解を解けよ。 まあ、あいさつは大切だけどさ。 「あ、あの…遅刻ですか?」 何聞いてるんだ俺は、どんどん目的から遠ざかっていきやがる。 「ち、違うわ!目覚ましが壊れてて、家を出るのが遅れたのよ!」 興味ねぇよ!聞いたの俺だけど、興味ねぇよ! そしてそれを、世間では遅刻と言うのじゃないんですか!? 「あはは…そ、それは災難でしたね…」 「え、ええ…」 「アハハ…。」 空気が死んだ。 全然会話が弾まない。 俺は、超高校級の口ベタなんじゃなかろうか。 無言の圧力に押しつぶされるような、この居心地の悪さは何年たっても慣れないな。 まあ、慣れちゃいけないんだけれども。 「あ、あの何年生なんですか?」 「高2よ。」 さらに、一個年上か… 敬語を使うべきなのか? 「俺、今日はじめてで…あはは」 「なら、新入生なの?」 「はい。高1です。」 「…そっか!私の名前は葉月美咲よ。よろしくね!」 「お、俺は、星川祐樹です。よろしく」 おっ? これは…フラグ?フラグなのか!? 名前を教えてくれたってことは、ある程度の信頼を得たってことだよな。 これからも会ったら宜しくって事でいいんだよな。 …俺にも、ついに春が!?
/91ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加