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「……!」
痺れにも似た悪寒が背中を走り、ケイは咄嗟に身を起こした。髪の毛が一斉に逆立つ。
「エディ!」
「何か見えるか?」
月明かりが照らす村は静かだ。
「ううん」
「俺も見えない」
「……うん、何も」
二人は目を凝らすが、依然として動くものはない。
「あれが気のせいだっていうのか?」
エディは、馬鹿か、と続くような声色でぼやく。
「かなり、近かったね」
感覚を信じるなら“奴ら”は湖あたりまで来ているはずだ。それも小者だけではないような、強い気配を感じた。
「あいつらが隠れたりすると思うか?」
ケイは村を見渡して首を傾げる。見張りを恐れるようなタチではないだろうが、森と村には隔たりがあるために、隠れたまま村に入ることはできない。
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