第1章 ケイ・ソルガイア

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行き場を失った悪寒が、首筋から指先を震わせる。 「エディ、家には二人しかいなかったよね」 「心配ない。あの女共は、強いから」 言葉に反して声色は危うい。眠っているであろう彼の姉と母親の無防備さを思うと、自ずからケイの胸も疼く。 「長老に伝えたほうがいいかも」 「いや……気づいてるはずだ」 長老が気づいている。そうだとしたら心配することはない、とケイは思う。だが、未だ見えない敵は恐い。 「その上で何も動かないんじゃないか?」 だといい、とは思う。しかし緊急のときに楽観的になることは許されない。 「見えるまで待とうよ」 「奴らが?」 「うん」 エディは首を曲げてパキパキと音を立てる。不安をごまかしているのかもしれない。 「それしかないな」 呟かれた同意に、ケイは頷く。今は、悔しいがおそらくどうすることもできない。
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