第1章 ケイ・ソルガイア

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不意にエディが口を閉じたまま唸る。んう、と聞こえたが、ケイは聞き返す。 「何?」 「心配だ」 低く、呟く。 「さっき二人は大丈夫って言ったのに?」 「あいつらはどうにかなるさ」 エディは軽く鼻で笑った。 「……イルが?」 「ああ」 イル。村の大概の小屋より広い家に一人で住む彼女は、かつてはエディの姉の親友だった。 「だってあの人を誰が庇う?」 彼は口を尖らせる。 「うん……まあ、ね」 そう言ってケイはイルの大きな小屋をぼうっと眺めた。それはいつものように、中に人ひとりしかいないことを寂しがるように見える。
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