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……数分。いや、数十秒。
あまりにも遅い時間の流れにもどかしさを覚える。“奴ら”の気配をうっすら漂わせた空気は、やはり動こうとしない。
ケイは空を仰ぐ。タムが、みんなが無事であるようにと祈る。明るい月でさえ、知らないよ、と彼らを見放しているように思えた。
沈黙に耐え兼ねたのかエディが、小さくため息をついた。
「やってられるかよ」
独り言のように呟く。
「……うん」
エディが口を結ぶのが分かる。
「まったくだよ」
聞こえるか聞こえないかの声でケイは囁いた。エディのものと同じため息が思わず、ゆっくりと口から漏れる。
「エディ?」
「何」
ケイは再び森に目を落とした。やはり変化はない。
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