第1章 ケイ・ソルガイア

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ケイは目を伏せて、 「タムの様子を見てくるよ」 と言い切る。冷たい沈黙のあとに、 「……は?」 エディはそう声を発した。 「奴がいたら叫ぶよ。鐘を鳴らしてくれたらいい」 と言って、ケイは吊った大鐘から下がる紐に触れる。 「でも」 「危ないのは分かってる」 きっぱりとケイは言った。 「タムまで失うのは嫌だよ」 エディがつばを飲み込む音が聞こえた。 「だから、僕は行って……」 「待てよ」 今さら何なんだ、と苛立つ。 「タムの無事を確かめないと」 「待てって、おい」 「行かなきゃ……」 「あれを見ろ、馬鹿!」 その強い声に我に返ると同時に、地上からこちらに両手を振る影に気づかされる。 「あれ、は」 「タムだな」 エディが大きく手を振り返す。 「問題なかったらしいな」 彼が手を下ろすとタムは軽い足取りで湖畔を回り、集落に辿り着く。 「……そっか」 「そうだ」 「ごめんね、悪かった」 ケイは気恥ずかしくなって咳払いをする。 「お互い様だ」 彼は頷き、そう言う。
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