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「じゃあね、エディ」
ケイは梯子に足を掛けながら言った。
「ああ、おやすみ」
頭上から気のない声がかかる。
ミシミシと音を立てながら梯子を降り、ケイは5、6時間ぶりに土に足をついた。
そして歩き出すと、ずっと座っていた身体が軋む。まるで膝が、動きたくないとだだをこねるように。
もう寝られるから。我慢しなよ、僕の膝。
心の中で呟くと、しゅんとするように痛みは消えてしまった。
よしいい子だ、などと再び呟きながらてくてくと歩く。
ケイはちょっと警戒して辺りを伺うが、やはりもう、先ほどの気配は消え失せている。
丘を降りてから、何となく物見台を振り向いて手を振った。星を背中にしたエディのシルエットは、すぐに手を振り返した。
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