第一章 血の池地獄

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   その頃には、投稿動画は削除済みとなっている。  しかし、騒動は終わらない。  翌日、千葉市、柏市、船橋市、市川市、八千代市などで、池が赤く染まったと通報が入る。  確認してみると、その全てが昨夜の内に動画サイトやSNSに、画像や動画がアップされていた。  小学校の観察池。  公園の噴水。  個人宅の池。  農業用の溜め池。  植物園内の池。  これらは、それぞれにペンキを投げ込んでいる。中には塗料を抱えた男が池に侵入し、それをぶちまける動画が投稿されたものもあった。  当然のように、これらの投稿者は警察の厄介となる。県警としても、単なるイタズラと静観できない状況である。  本部長の桐谷は、自室に柿崎を呼んだ。  柿崎 順二。  千葉県警刑事課の警視にして、県警一のキレ者と称されるキャリア組。ここのところの重大事件は、彼の指揮により解決に導かれたという。 「しかし何故、ここまで模倣犯が増殖したんだ」 「本部長。それが、ネットの特性です」
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