第一章 血の池地獄

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  「だが、しかしだな……」 「今回、本部長は最初の動画を、最速で消去したと思われるかもしれません。しかし、模倣犯側にしてみれば、十分過ぎる時間があったという事です」  桐谷とて、そうした事実は情報として頭には入っている。しかしながら、それを自身の知識として受け入れ切れていないのだ。  そんな桐谷に、柿崎は用意しておいた資料を提示する。  それは、一連の騒動を時系列にしたものだった。  五月二十七日。  山下 洸輝が、動画を投稿。  五月二十八日 午前。  山下の父により警察へ通報。  同日 昼。  動画配信停止。  同日 夜。  模倣的動画が続々と投稿される。  つまりは、二十七日の動画投稿直後から、二十八日の昼に停止されるまで丸一日の時間がある。  その間で、数千の動画閲覧があった。 「かなり、ショッキングな映像です」 「だからと言って、それを真似ようと思うものか?」 「その動画に対し、世間的には賛否ありますが反響は大きいものでした」  柿崎は、困り顔でそう溢した。
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