プロローグ

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   彼らにしてみれば、イタズラを仕掛ければ世間が騒いでくれる。  ならば、他の誰もやった事のないイタズラ。より派手で騒がれるイタズラを、ネット上にアップして目立ちたいと考える。  マスコミの扱い方も、考えものだ。  とある工場近くのプレハブの二階。  そこが、この工場の事務所なのだろう。プレハブといっても、その外壁は白く汚れが無い。小さな工場も、その外壁は綺麗で汚れが無い。  最近、改築したのであろう事が分かる。  事務所内も清潔で、カウンターの上に置かれたラジオからは、例のニュースが流れている。  また、新しいイタズラ動画が投稿されたと。  しかし、事務所内にいる二人の男には、そうしたニュースなど耳に入っていない。少なくとも、端から見ると耳に入っていないように見える。 「本当に、大丈夫なのか?」 「銀行や信販会社じゃなく、個人だから不安なのは分かる。だが、返すアテはあるんだ」 「返すアテがあるなら、銀行だって貸してくれるだろ」 「審査やら何やらで、時間がかかるんだ。それを待ってたら、うちは潰れちまう」
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