第2話 ~ 心の傷 ~

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  ☆☆☆☆☆ 同刻 ☆☆☆☆☆ 「何じゃと、ミルがいなくなったじゃと」  作戦を終えたヴォル隊長にボーダがミル失踪の報告をしたのだった。 「これが机の上に置かれていました」  ミルの手紙だ。くしゃくしゃになった手紙を広げ内容を見るヴォル。  本来であれば敵前逃亡ともとらえられないミルの行動である。   「それで行方は分からんのじゃな?」  ヴォルの言葉にボーダは、はいと答えるだけであった。 「そうか」  ヴォルはそういうと、手紙を懐にしまう。 「こんなものを残して逃亡とは、帰ってきたら厳罰じゃ」  ヴォルは吐き捨てるようにそういうと、その場を後にした。  一方、隊員たちは浮かれていた。  作戦が成功したからだ、これにより他部隊との連絡が可能になる。  孤立状態からの復帰の意味もあったのだ。  修理は必要であるが、通信システムが回復すれば再び組織としての行動がとれるようになる。  今までの戦いが報われた証でもあるのだ。  後は通信拠点を死守することが彼らの役目となる。  修理班は通信システムの復旧班と機体の修理班の二手に分かれて忙しい時を過ごしていた。  ヴォルはそんな状況の中、部隊からの報告を受けていた。  被弾状況は悪くない。通信システムも復旧に二日ほどの時間が必要だとの報告だ。    浮かれた隊員たち中には笑顔を見せる者もいる。  それに対し愛想笑いで返すほかないヴォル。  ヴォルの心中は穏やかではない。  今回の作戦で奪還した司令塔はその機能を果たしてこそ意味がある。    まずは本国との連絡、おそらくは宇宙ステーションとの連絡になるだろうがそれができて初めて作戦が成功となる。  ウィグたちに破壊された司令塔は思った以上の破損状態であったのだ。
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