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体力温存のためにも火を起こすことが必要だった。
枯葉を集め種火をつける。そこから徐々に枯枝に火を移し替えてたき火を起こした。
久しぶりの火のぬくもり。
衣服を脱いで、早く乾くようにとツタをロープ代わりにして、明かりが漏れないようにたき火を囲った。
せっかく手に入った食料でもあるヘビを、慣れた手つきでさばくと火にくべる。
「そう言えば、同じようなことしたな」
たき火を見ていると、訓練当時のことを思い出す。
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「そんなところにいないで、もっとこっちにこい。体を冷やすぞ」
リュークがたき火に近づこうとしないミルに声をかける。
「だって、それ……」
ミルが指差したのはヘビの串焼きだ。
実戦訓練に入ったころは、実際の野宿の体験もある。
食料調達もその一環だった。
しかしもともと民間人であったミルにとっては天地がひっくり返るほどの食生活。しかもリュークと二人きりで森の中で一週間過ごさなければならないのだ。
「怖がりだなミル。こいつは滋養にいいんだぞ」
「無理無理無理、私はお腹いっぱいだから」
そんなことを言討ミルのお腹はぐぅ~と素直に返事をするのであった。
「遠慮するな、戦場で生き残るのには大切なことだ。食うことと寝ることは体力を回復させてくれる。覚えておけ」
時には厳しく、時には優しく接してくれるリューク。
しかし無理強いをされたことは一度もないのだ。
そこがほかの人と違うところだったのだろう。
がれきの下から救い出されたミル。
その当時は誰も信じることができず、言葉を失ってただひたすら泣き続けていた。
しかしそんな彼女に毎日のように話しかけてくれたのがリュ-クだったのだ。
次第にミルはリュークに心を開いていくことになる。
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