KISS1

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ポンと何かに包まれる感覚とフワリと香る僅かな汗のにおい。 ハッとして見上げるとおいしそーな唇……って俺は変態か! いやでもおいしそー……。 「大丈夫?」 柚「へっ?」 声をかけられて思い出す今の状況。 だ、だだだ抱き締められてるぅう!? 柚「うわぁ!すいません!」 はねのけるように離れる。 グラッ 柚「ふぅおあ!?」 足痛いの忘れてたあぁあ!? グイッ 後ろに倒れていく体が再び前に傾く。 「危ないなぁー……」 こんにちは美味しそうな唇さん ってちがぁう! 柚「何回もすいませんっ!」 こんどは転けないように気をつけて後ずさる。 ニコニコと困ったように笑う唇さんにぺこりと頭を下げる。 柚「ほんとすいませんでした!失礼します!」 痛い足を庇いながら保健室から飛び出す。 足痛いぃ。 ある程度保健室から離れた場所で座り込む。 やっぱ急に走っちゃ駄目だな。 シンとした廊下の壁に寄りかかって足を見る。 なんか、今の一瞬で悪化した気がするんだけど......。 自覚するとジンジンと音がしそうなくらい痛んできた足から気をそらすために別のことを考える。 さっきの人......。 ほんっとにいい唇してたなぁ。 虚無を見ながら片手で唇を触る。 あの唇にちゅーしたらどんな感じなんだろ。 まあ、一生ありえないだろうな。 まず誰かもわからないし。 そもそも男だし。 二度と会えないだろうなー。 ま、とりあえず教室行くか。 あんまり遅れると後々面倒なことになるし。 足を引きづりながら教室に向かう。 教室無駄に遠いなー......。 ちゅー、したいなー。
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