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「黒猫は足が速くて捕まえられねえな」
華去爾はそう言うと弾倉に弾を込めた。こめかみに傷のある男だ。
「取り込み中失礼します!この加藤狂は黒猫を捕まえました!」
にゃあ。
「黒猫違いだ!黒猫三番を捕まえろといったのに、どうして黒猫を捕まえた?」
加藤狂は短髪をひっさげて、銃をかついでいる。華去爾のマグナム3口径にカツンと加藤狂はランチャーを接触させた。
二人は互いに犬猿の仲だが、同士である。
――この野郎、解っちゃねえな。
互い違いのボタンのように二人は相性が悪い。しかし総本山のナトリは頭が悪いので手駒を使えないでいる。
「まあ、いっか!」
頭にきた華去爾はマグナム3口径をナトリに向けた。
「あ、撃っちゃう?」
総本山のナトリは軽く笑いながらパンチを出した。
「俺のどこに不平がありますか?」
「んとね、顔」
「撃ちますよ?」
「ごめん、冗談」
「いっときますが俺はあなたが大嫌いです」
「そ?別に構わないよ?」
ナトリはそう言うと工場の外の屋根頭の上に立った。
「あたしの全力をあげるよー」
馬鹿にしたように鼻で笑う。加藤狂はナトリのフォローをするためにランチャーを華去爾に向けた。
「あのね、あなたは切れ者すぎるの。狂、下げて」
華去爾はそう言われるとマグナム3口径をナトリに向けた。
「俺のことを買いかぶってますね。残念ですがここは崩落しますよ?」
――なんだとこの野郎。
「あたし狂のこういうとこ好き!」
工場の端にはサロマがいる。ナトラーの横には諒花がいつもいる。馬鹿のフォローをいつもする役目が回されるので、諒花は華去爾にとっては眼の上のたんこぶに近い。
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