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「三番なんてさ、放っておこうよ」
総本山のナトリはそう述べて、手すりの上に立った。諒花が倒れないように脇に寄り添っている。
「僕のサードステイにかなり近いですね。待って下さい。あなた用の銃を考案中です」
漆器はナトリに眉をくいっと上げて、合図した。
「どけ。こいつのせいでここがナガメの手に落ちそうなんだ」
「どかないです。僕は彼女を守ります」
漆器はイングラム4口径を分解してブラックエンジャーをぶち込みながら立ちはだかった。
「お前さん、裏切りはよくねえ。そら、俺と勝負し」
「銃なしのお前とか?」
「おうよ。人生楽しかないからな」
華去爾はサロマに言われ、少し思案してからこう言った。
「苦もなきゃ人生は広がらないぜ?」
「すぱーん、いいこと?この桜雪がいうには、人生の問題じゃないの。あなたたちの相性の問題なの」
「いーよ、別に」
ナトリの言葉に反感を持った華去爾は発砲した。しかし漆器がサードステイでかばったので弾丸は当たらない。
「畜生!俺こんな女捨てていきたいのに!」
「華さん、俺が説得するから勘弁してください」
「なんで俺が餓鬼の言うこと訊かなきゃなんねえんだ!」
「なぜならナトリさんの魅力ですよ?この方は右腕に弾倉を持ったお方です。誰のために右腕を捨てたと思います?あなたの為にですよ?」
「なんだとっ!」
「そうよ。華、あなた頭ひっぱたいていい?あなたのやりたい事と彼女がやりたいことは違うの」
「別に構わないよ。華には華のやりたいことがあるんだから、やっちゃえばいいんだよ!」
ナトリはそう言うと弾丸を向けなという顔でこちらを見る。
――俺のためだったのか。
「そうでもないよ。気にしないで」
「いや、御祓を切りたい。髪を丸めさせて下さい」
「嫌だよ。あたしその髪好きだもん」
「ナトリって呼んでいいですか?」
「誰も拒否ってないよ、華、気にしすぎ」
「そうですか。では言わせてもらいますがあの時なぜ黒猫三番を殺さなかったんですか?」
「んーとね、なんとなく」
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