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岩に背をもたれ一休みする俺達に、会話はなかった。さっきの事が夢のようで……現実感がなくて頭がついていかない。
故郷を失って、父さんも居なくなって、これからどうすればいいのだろう?
そんな事を考えてどれくらい時間が経ったか、チグサが口を開いた。
「……これから私達、どうすればいいのかな……?」
「…………」
「皆……皆いなくなっちゃった……。村も家族も……。何で?何でこんなことになったの……?私達、なにも悪い事してないのに……」
涙声で独り言のように呟くチグサに、俺は何も言えなかった。
うわべだけの言葉をかけても、何の意味もない。
それに俺自身も、答えはでてないから。
でもチグサの言う通り、俺達は何も悪い事なんてしてない。
そしてふと思いつく。
こうなってしまったのは、誰が原因なのかを。
「チグサ、村の事も皆の事も、俺達は何も悪くない。悪いのは、いきなり俺達を襲ってきたあの男だ」
唐突すぎて考えがいたらなかったが、原因は間違いなく奴だ。
確か父さんを探していたけど、それだけなら村を焼く必要はない。
もしかしたら別の目的もあったのかもしれないが、今は置いておこう。
「アイツが……!!アイツが来なければ、こんなことになってないんだ!!」
奴の姿を思い出すと、心の底から怒りがこみあげてくる。
「アイツだけは、絶対に許さない!!」
俺は心の中で、奴より強くなって復讐することを誓ったのだった。
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