第1章 旅立ち

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「いたた……。ごめんなさい、お兄さん」 その子は立ち上がって服をはたくと、ペコリと頭を下げてくる。 本来なら返事をして立ち去る所だが、俺はその子の腰に下げている武器を見てかなり驚いた。 何故ならその子は、双剣を持っていたからだ。 いくら子供とはいえ、双剣なんて技術がいる武器を使う冒険者はあまりいない。普通、短剣か長剣だろう。この子、見た目より強いかもしれない。 「いや、別にいいよ。それより君、冒険者かい?」 「え?はいぃ、そうですけどぉ」 ……何だか間延びした喋り方だな。 見た目からして10歳ぐらいか? まぁ、それはいいか。 「君みたいな小さい子でも、旅をしてるんだな。引き留めて悪かった。頑張ってな」 多分なにか理由があって旅をしてるんだろうけど、初対面から聞くのもな。 そう思い酒場へ行こうとしたが、誰かに服を引っ張られた。 言わずもがな、金髪の子だが。 「ちょっとお兄さん?誰が虫より小さいマイクロチビだってぇ?」 金髪の子は凄い笑顔を浮かべ、そう言った。 そんなこと一言も言ってないし立ち去ろうてしたが、体が前にいかない。 この子、実は凄い力持ちなのか? 「いや、そんなこと言ってな」 「うるさ~いぃ!!ソラは20歳だから子供じゃないのぉ!!身長もこれから大きくなるもん!!」 20歳……?俺やチグサと同じ歳だと? 140cmぐらいしか身長がない、この子が? 「いやいや、君。つくならもっとマシな嘘つこうな?」 「嘘じゃないもん!!ソラは大人だもん!!」 ……大人はそんなに駄々こねるみたいな仕草、しないけどな。
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