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「邪魔だ、どけ」
奴は棒を扱うかのように大剣を振るい、バルドさんを真っ二つに斬った。
そして舞う鮮血が、噴水の如くふきだす。
「あ……ああ……!!お父さん……!!お父さぁぁぁぁぁぁん!!」
涙を流し、悲痛な叫び声を上げるチグサ。
くそ!!なにやってるんだ俺は!!
動け!!動けよ俺の足!!
「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
俺達と同じ気持ちなのだろう。
父さんは今まで見たことない怒り狂った形相で、奴に特攻していく。
その手に召還している剣を荒々しく振るい、奴を攻めたてる。
だが奴もかなりの手練れなのか、父さんの剣が奴に届く事はない。
「ふん、そんな直線的な攻撃で俺が倒せると思ってるのか?」
「ぐ……!!」
奴は父さんの剣を受け止めると、そのまま大剣を振るい父さんを弾きとばす。
片手だけで弾くなんて……。
あの丸太みたいな腕は、見かけ倒しじゃないみたいだ。
「貴様がこの程度だとはな。次で終わらせる……」
奴は肩の位置で大剣を構え、剣先に指を添える。
すると奴の体から炎が生まれ、辺りをさらに焼けつくしていく。
そして奴から放たれる殺気が一段と増し、いつの間にか流していた涙も止まり体が震えていた。
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