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かつて船で旅をする者たちは、広い洋上で自分たちの目指す場所の方角を知るために、北極星を見上げていたという。
見上げた夜空の遥か遠い天上。
決してその位置を変えることなく、ただじっとまっすぐな光を放ち続ける。
いつも同じ場所から届けられるその光は、強くて儚い。
吐き出した白い息が、真っ黒な夜空に一瞬霞をかける。
その向こうに見える、おびただしい数の小さな煌めき。
夜空からこぼれ落ちてきそうな星々に目を細めながら、重ねる。
もう決して届かなくなってしまったその姿を。
何を思い、何を伝えようとしていたのか。
問いかけても、もう答えは返ってこない。
それでも僕はずっと、答えを探してた。
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