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車に戻り、エンジンをかけ夜道を駆け抜ける。隣の彼女が不思議そうに見ているが気にしてられない。
窓に移る町並みは明るくなり、空に移る星は姿を消していった。
すぐに車は彼女の家に着いた。
「今日はありがと。また行こうね」
「そうだね。じゃあ、おやすみ」
翌朝、つけっぱなしのテレビの音で目が覚める。また電気代を無駄にしてしまった。
冷蔵庫に頭を突っ込み、中を観察。朝はいつも通り目玉焼きとウィンナーをご飯のお供に食べることにしよう。コンロに乗ったフライパンに油をひき、ウィンナーを三つすかさず投入。焼き上がったら皿に移し、次は卵を入れる。一度友達と、目玉焼きは半熟か完熟か論争を起こしたことがあった。なぜあれが殴り合いにまで発展したのか。半熟こそが至高だというのに。
目玉焼きを皿に移す。ご飯を盛り、テレビのチャンネルを変える。
「いただきます」
黄身の皮を引き裂き、醤油を垂らす。ウィンナーを黄身につけ、一口。
……目玉焼きがおいしくない。古い卵だったのだろうか。
冴えない顔のままご飯を掻き込む。食器を流し台に片付け、スーツを着て家を出る。
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