お持ち帰り

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 腹はふくれたが、物足りない。憂鬱な気持ちで車を会社まで走らせる。  部署につくと、同期の高橋が机に突っ伏して寝ている。  叩き起こすと、寝ぼけながら高橋が言うには、新商品の抹茶オレを飲みに、部長がもうすぐ来るらしい。いつ来るのかと聞こうとしたら、部長が現れた。 「高橋から新しい商品が出来たと聞いたのだが、見せてもらおうかな」  高橋は冷蔵庫から箱を取り出してきた 「名前は抹茶オレです。小さい子でも飲める物に仕上がっています」  箱を開けると、黄緑色のサラサラとした液体が三つ、コップに入っている。  なぜコップなのか。そもそも、出来立てではなく、冷蔵庫に入れていた物を出している時点でどうかと思うが。当の本人はもちろん、部長も気にかけず、黄緑色の液体を興味津々に見つめている。まるでプレゼントの箱を開けた子供。案外この二人は馬が合うのかもしれない。 「それじゃ、一口」そう言って全て飲み干す部長。すると部長の顔が頭皮と相成って輝きを増す。 「うまいよ、これ。高橋君、材料は何だい?」 「まあ、それは……色んな物をゴチャゴチャと……」 「高橋はアイデアを出しただけです。僕が説明します」  やっと俺の出番だ。 「基本は静岡のお茶の葉と、北海道の牛乳を混ぜ合わせたものですが」  高橋が抹茶オレをサッと差し出す。喉を潤すために一口飲む。 「このサラサラ感を出すために……え?」 「どうしたんだ? 続けてくれ」
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