お持ち帰り

8/8
前へ
/8ページ
次へ
 車を止め外に出る。結局また来てしまった。右のポケットを触り、指輪の入ったケースがあることを確認し車のドアを閉めた。やっと食べれるぞ。自分の高まる緊張とは裏腹に店内は静まり返っている。月を隠す雲がぼんやりと光る。  カランコロン。店に入ると前と同じ店員がいた。 「いらっしゃいませ。現在品切れで、申し訳有りませんがお肉を使った料理は提供できません」 「えー、食べれないのー。……もういいよ、帰る」  肉はないのか。これじゃ何でここに来たのか分かんねえよ。くっそ。ここ一週間ろくなもん食べてねえのに。肉……肉…………あ、あるじゃーん 「一名様(お持ち帰り)でお願いします」
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加