2067人が本棚に入れています
本棚に追加
「…なんか、雪子先生がチカくんに手えだしてるって…」
「チカに? 雪子先生は加賀先輩だろ」
「まあそうなんだけど…」
言って、なんだかサトがそわそわしだし。
「オレ、ちょっと保健室行ってくるわ」
そして突然走り出そうとするサトを、「オイ!」とオレは思わず引きとめた。
久々に大きな声を出したような気がする。
「なんでおまえが行くの」
「いいだろ、別に」
「つうかチカにも色々あんだろ。 今、いいとこかもしんねえじゃん」
オレの言葉に、サトが眉根を寄せた。
そして一瞬沈黙した後、サトが真剣な顔をした。
「…なあアズキ」
「なんだよ」
その表情に、なんだか身構えるオレ。
「チカくん、オレにちょうだい」
「…は?」
今度はオレが眉を寄せる番だった。
「なに言ってんの、おまえ」
「オレ、1万出す!」
「え? くれんの?」
オレがきょとんとし聞き返すと、サトがウンウンと大きく頷いた。
.
最初のコメントを投稿しよう!