2067人が本棚に入れています
本棚に追加
「やる! だからおまえは! そのまんま! なんっにも動くな!」
「はあ? なにそれ」
オレは思わず苦笑した。
「いいから! おまえは何も考えんな! それだけでおまえの懐に1万入るんだ!」
「へえ…」
サトがなんだか必死に見えたので、オレの意地の悪い心が頭をもたげた。
「…いや、やっぱ3万にしとこう」
「はあ!? どっから持ってくんだよ、そんな大金ッ」
「弱い者いじめでもしてこいよ、サトシくん。 友だちだってたくさんいるんでしょ? キミ」
「おまえ…っ」
「近森くん、あげないよ?」
オレがそう言うと、サトがグッと言葉を呑んだ。
ちょっと面白くなるオレ。
つうか、オレのものでもないんですけど。
つうか、なに言ってんのこいつ。
つうか、本気なの? ホモなの?
(…バカらしい)
オレが心の中でそう思うと同時に、「…わかった」とサトが言った。
.
最初のコメントを投稿しよう!