02*azuki

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「やる! だからおまえは! そのまんま! なんっにも動くな!」 「はあ? なにそれ」 オレは思わず苦笑した。 「いいから! おまえは何も考えんな! それだけでおまえの懐に1万入るんだ!」 「へえ…」 サトがなんだか必死に見えたので、オレの意地の悪い心が頭をもたげた。 「…いや、やっぱ3万にしとこう」 「はあ!? どっから持ってくんだよ、そんな大金ッ」 「弱い者いじめでもしてこいよ、サトシくん。 友だちだってたくさんいるんでしょ? キミ」 「おまえ…っ」 「近森くん、あげないよ?」 オレがそう言うと、サトがグッと言葉を呑んだ。 ちょっと面白くなるオレ。 つうか、オレのものでもないんですけど。 つうか、なに言ってんのこいつ。 つうか、本気なの? ホモなの?  (…バカらしい) オレが心の中でそう思うと同時に、「…わかった」とサトが言った。 .
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