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そして声をかけ。
何を言ってんのかは聞こえないけど。
傍から見れば脅されているようにしか見えなくて。
「…」
そしてオレの視界の中、辻くんがウンウンと大きく頷いた。
サトが満面の笑みでオレに振り返る。
「いいってよ! 辻くん、視力悪いけどコンタクトにするんだって! しかも1万貸してくれるって!」
「…ひでえ」
「それと、オレ! 保健室行ってくっから! おまえ、明日までには席、変わっとけよ!」
そう言って、サトは足早に教室を出て行った。
――それから授業が始まっても、チカは帰ってこなかった。
「…」
オレは授業中、何度も教室の出入り口を見た。
そんで小学校の頃を思い出した。
授業参観で、母親がくるのをまだかまだかと待ちわびてたあの頃。
「…」
(…まあ、そんなことはどうでもいいんですけど…)
思い、オレは何かを諦めると、また机に突っ伏した。
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