02*azuki

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…チカとオレは仲がいい、と思う。 高校入学してすぐ、チカのことをサトから聞いた。 頭もいいし、運動もできて、顔もいい。 でも他人にはすごく冷たくて、近寄りがたい。 この学校の女は大抵チカか、三年の大宮先輩のことが好きで、でもチカは告られても全部断ってるらしいって。 『アズキとは真逆だよ』とサトが笑ってた。 オレは来る者拒まず、チカは来る者すべて受け入れずって。 「…」 そういえば、とふと思う。 一年の時、サトが言ってたな。 友だちになりたいって。 オレはそん時、サトのことをバカにしたけど。 サトも笑って、オレやべえって言ってたけど。 「…」 遡って考えると、サトの本気が見えてきた。 二年になって、たまたまチカとオレが同じクラスになった。 そんでたまたま隣の席になった。 そしたらサトが、今まで以上にオレんとこに来るようになって。… 「…マジで?」 気付き、オレは思わず苦笑した。 けど。 「…」 なんだか、笑えない話だと思った。 .
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