01*chika

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「チカ、井上に告られたって?」 「…」 「…すっげえ噂になってる。 井上っつったらウチの学校のアイドルじゃん」 「…」 「で、好きなヤツいるって断ったって聞いた」 「…知らね」 「教えて」 「いない。 嘘ついただけだ」 「…」 「つうか離せ。 気色ワリィ」 「…」 アズキの手が緩み、オレは温かいその中から自分の手を引っこ抜いた。 冷たい外気が、異様に温まったオレの手を襲い、アズキのポケットに入れる前より何百倍も寒く感じる。 「…」 オレは何かを誤魔化すように、マフラーに顔を埋めた。 そしてチラリとアズキを見る。 目が合った。 「 …おまえ、携帯いいの?」 「…あ」 それまでオレを見ていたアズキが、「忘れてた」と言ってさっきとは反対のポケットを顎で指した。 .
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