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よくある都会の光景。マンション内にどんな隣人が住んでいるのか把握しているものなどほとんどいない。
平静を装えば、鍵を出さない事さえ日常に紛れる事を涼子はよく知っていた。
そのまま、エレベーターへと一緒に乗り込む。
先に乗った田辺らが押した階は七階。確認を済ませてそのひとつ下、六階に指を這わせボタンを押す。
チーンとチープな音を響かせ、上昇を止めた昇降機。
さり気なく、降りながら目で階段を探していく。扉が閉まると同時に駆け出す涼子。
走る、走る。
見つけた非常階段を一足飛びに駆け上がって、七階に先回りした。
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