第三章 領域

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   1  渋谷から横浜へ向かう車中の会話。涼子はため息混じりに言葉を吐き出した。 「まあ、そんなわけで。この写真の男、青木良太の脅迫行為をやめさせれば万事おっけーって事」 「……あの凛花さんがそんな個人的で簡単な依頼をしてきたんすか? そりゃ匂いますね」 「匂う? どういう事?」 「そのまんまっす。どう見てもコイツはまだガキじゃないっすか。あのオーラの塊みたいな凛花さんと張れるとは思えないっす」  言われてみればと涼子は思う。  あまりにも拍子抜けしたんで深くは考えなかったんだけど……。  仮に丸くなったんだとしても、か。確かにあの凛花がそもそもの話。この程度の男に脅かされたりなんてするのだろうか? 「……でも旦那にバラされたら困るだろうし」 「そりゃそうっすけど」 「……寝たとも言ってたわよ?」 「あー。寝るだけなら起つもんが起ちゃあ出来るっす。気圧されたってオンナが極上ならサガには逆らえないっすから。けど人間として相対出来るかは絶対に別問題っす」 「……裏があるって事かしら?」 「ソイツはわかんないすけど……もう依頼は受けちゃったんですよね? そしたらやるしかないっすね」
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