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渋谷から横浜へ向かう車中の会話。涼子はため息混じりに言葉を吐き出した。
「まあ、そんなわけで。この写真の男、青木良太の脅迫行為をやめさせれば万事おっけーって事」
「……あの凛花さんがそんな個人的で簡単な依頼をしてきたんすか? そりゃ匂いますね」
「匂う? どういう事?」
「そのまんまっす。どう見てもコイツはまだガキじゃないっすか。あのオーラの塊みたいな凛花さんと張れるとは思えないっす」
言われてみればと涼子は思う。
あまりにも拍子抜けしたんで深くは考えなかったんだけど……。
仮に丸くなったんだとしても、か。確かにあの凛花がそもそもの話。この程度の男に脅かされたりなんてするのだろうか?
「……でも旦那にバラされたら困るだろうし」
「そりゃそうっすけど」
「……寝たとも言ってたわよ?」
「あー。寝るだけなら起つもんが起ちゃあ出来るっす。気圧されたってオンナが極上ならサガには逆らえないっすから。けど人間として相対出来るかは絶対に別問題っす」
「……裏があるって事かしら?」
「ソイツはわかんないすけど……もう依頼は受けちゃったんですよね? そしたらやるしかないっすね」
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