第五章 輪郭

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   カフェでは加藤の一団が完全にいなくなるまで油断はせず。見えなくなってからもしばらく時間をあけて一服。そして康介へと向けていく視線。  それを受け、すぐに頷く康介。それはもうやばめの気配はないというサイン。  ようやく手渡された資料に目を走らせ、先ほど聞いた関係者達の価値ある情報と総合をしていく。  それらによれば、青木は昔から自分は頭がキレると思っていて。金や欲望にはトコトン正直。  そして執着心が半端じゃない。  人間としての倫理観が壊れているような、精神異常の片鱗さえ窺える。  もちろん普段から言動や見た目なんかがあからさまにオカシイわけではない。むしろ紳士然としているそうだ。  だからこそ。  そんなのが普通を装い、一般に紛れているというのは本当に空恐ろしいものがある……。  まあ、私も人様の事をどうこうはいえないのだけれど、と。  自嘲気味に笑った涼子はその後再び資料に目を落としていった。
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