第五章 輪郭

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   最初は普通に情を絡めて迫っていく事が多いようだ。  とはいえ、それすらも一般的には思いついたからといって実行しないような事ばかり。なにしろ出会いすらも偶然なんかじゃないのだから。  加藤が辣腕を奮って集めた多様な人間からの情報。メールや電話、直接を問わず真贋を精査して纏めていったページ。  当然、渡されたものは全く同じものだが、その時にじっくり見た涼子はその内容を既にしっかりと覚えていた。  そこには法律では立件されていない過去の悪事と、青木が監督をして主演を行わうあらゆるやり方が憶測も含め綴られている。  車中運転を続けながら再び内容を回想していく涼子。  ターゲットは様々で。青木の気分次第なのだろう。道を行くOLだったり豪邸に住んでいる奥さんだったりはたまた女子高生まで。  そして相手の行動パターンを把握して偶然を装ったり、暴漢に扮した仲間を使いそれを助ける白馬の王子役まで俳優顔負けをこなしきっている。  ここまでで異性の身体が目的ならやり方は褒められないものの恋愛に熱心な可愛い奴とさえ思う。  涼子の持論として、恋愛は自由で自己責任という原則がある。
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