第五章 輪郭

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   会話から朧気に見えた篠村の人となり、現在までを涼子はその時に涼子なりの分析をしていた。  自分で見たままと、聞いた情報の全てを総合して思う。  要するにアロハは元軍人。在籍中はあまりにも血の気が多過ぎて内外を問わずに喧嘩が絶えなかった。  挙げ句に不祥事か問題を起こして退官を余儀なくされたとんでもないヤツなんだろう。  その後紆余曲折を経て。  どんな経緯かは知らないが加藤に出会い。  ようやく、たったひとつの特技である腕を買われ側近として落ち着いているに違いない、と。  もちろん。それらの全てはあくまで涼子の推測であって加藤や篠村から具体的な何かを聞けたわけではない。  過去を詳細に話す馬鹿などこの世界には存在しないのだから。
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