第五章 輪郭

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   そこまで考えて煙草に手を伸ばしていく涼子。左手でパッケージを開くとそれを軽く振って。覗いたフィルターを唇でくわえる。  やがて。前方の車両が赤いブレーキランプを点灯させスピードを落としていった。  それを見て涼子は軽くブレーキを踏み込むと車体は緩やかにスピードを落とし始める。  完全に停車したところで懐からおもむろにライターを取り出し煙草に火を点けた。  吸い込む呼気に歩調をあわせ、くわえたものの先端が徐々に赤い輝きに浸食されてゆく。 「ふぅ~」と大きく息を吐いて。紫煙を喉奥で味わう涼子。  何度か煙を吐き出した頃。ようやく信号機が青色に変わる。それを確認して今度は徐々にアクセルを踏み込んでいく。  彼女達を乗せた車体は低く唸って重たい身体を前方へゆっくりと進め始める。  再び動き出す景色を眺めながら涼子の頭はまた加藤とのやり取りへとスライドしていった。
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