第五章 輪郭

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   加藤は癖も警戒心も強くてその逆に存在感は希薄。どんな人間で何を考えているのか、涼子には最後まで解らなかった。  だが、会話は流れるようで淀みなく。こちらの質問に対しての答えは疑問を挟む余地さえない。  内容も質問が明確なものはすべて対価に見合う極めて有益な情報で。  ただし、結論から言えばカジノを仕切っている組織と、青木個人の間にハッキリとした繋がりがあるかどうかまでは解らなかった。  裏カジノを仕切っているのは地元の暴力団で《栄伸会》という組織だという。  当然非合法カジノである以上、組織が後ろ立てでやっているに決まっているのだが。  そして、青木が頻繁にそこへ出入りをしているのだけは確実。  とはいえ、ただの客として足を運んでいる可能性も充分にあるとの事。
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