第六章 溜まり場

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   1  時刻は既に夜の九時を回っていた。涼子達二人はようやく目的地に着く。  目的の店はいわゆる繁華街からは少しズレた場所に位置する為、辺りはひっそりと静まり返っている。  道路に車を止め、車中から遠目に店の正確な位置を確認した後、まず何があってもいいようにと周辺地理を綿密に調べていく涼子と康介。  万全を期してメインストリートはもちろん。裏通りや逃げ込めそうな民家の庭まで。  そのうえで非常時に備え幾つかの逃走ルートを頭の中に確保していく。  万が一、そうなってしまえば当然康介とハグレてしまう事も考えられる為その場合に落ち合う場所までを決める。  ようやく車の位置を定め駐車をした時には十時半を過ぎていた。  何事も準備と情報が肝心。涼子には手抜きという文字はない。  いよいよ、二人は羽賀のきりもりするダーツバー《カルマ》へと向かい足を動かしていった。
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