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凛花は開いた扉の外側から涼子を見ると顔にこれでもかと笑顔を浮かべて口を開く。
「ごきげんよう、涼子。中に入ってもいいかしら?」
「……ええ、モチロンよ」
「では、失礼」
そう言うとツカツカと来客用のソファーに歩み寄って。まるで自宅のように腰を下ろした。
その凛花の動きをじっと観察しながら涼子は思う。
(この女狐が……)
こいつの笑顔は半端じゃない。
同性の私でさえ、クラッとくる……男ならひとたまりもないだろう、と。
冷蔵庫から取り出した麦茶をグラスに入れて、凛花に差し出す涼子。
すぐに凛花の正面ソファーに座って。
「どうぞ」
「ありがとう。外暑いから喉渇いちゃったわ」
貼り付けたような笑顔は一切崩さずに左手をうちわのように往復させて顔をあおぐ真似をする。
喉を鳴らして瞬く間にグラスを干した凛花が言った。
「で、今日はなにかしら? 私こうみえても忙しいんだけれど?」
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