第十三章 交渉

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   だいたいこういった買収や乗っ取りなどの話は水面下であらゆる根回しを終えていて。喰う時は怒涛のように一気にいくもの。  この分だと現段階での買収騒ぎも、まわりがあーでもないこうでもないと騒いでいるだけで。  当事者がこの有り様じゃ、キサラギもゼクスも直接の交渉はまだしていないだろう。  涼子はそう考えた。 「ええ、相手は青木良太という横浜に住むクズ野郎です」  その言葉に口をキツく結びつけ黙り込んだ田辺謙造。  それを見て小さく頷いた涼子が話を続ける。 「さきほどの写真はその青木という男から私が押えたものです」
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