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あれから既に数日が経過していた。
その間に根回しと下準備をあらかた終えた涼子は頃合いだとして今車を走らせている。
涼子の乗る愛車はヘッドライトを煌々と照らし前方を光で染めあげていた。
夏の日で辺りの暗さ。
時刻は少なくとも既に八時は回っているだろう。
「康介。ここ数日ご苦労だったわね」
リクライニングを倒して助手席に深く腰をかけた康介にそう語りかける。
「……いいオッサンが小便漏らしてましたからねぇ。ま、脅かすのは芝居気が必要でちょっとだけ面倒でしたけど」
そう言って鼻を掻いた康介は言葉を続けていく。
「しかしアイツは悪いヤツっす。これでもかと黒いネタがでるわでるわ」
「急激に成り上がってる最中の企業なんてみんなそんなもんよ」
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