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そんな会話を続けながら車を走らせる事四十分ほど。
辿り着いた目的地は神奈川のいわゆる富裕層と呼ばれる人間が住まう地域。
車を適当な場所に止めた涼子が脇の康介へ声をかけた。
「着いたわよ?」
「うっす。しかし、いきなりこんな夜に相手を訪ねたりしていいもんなんすかね?」
「はぁ? あんた今更何言ってんの。TPOならあんたの方がよほど破天荒よ。単身でヤーサンが囲む倉庫に乗り込んだりさぁ」
「……それとこれとは別問題っす。自分はやっぱり交渉事みたいなのは苦手っす」
その言葉に声をあげて笑った涼子。
「まぁまぁ、得手不得手ってヤツよ。今回はこの涼子さんに任せてドーンと構えてなさい」
「……了解っす」
「じゃ、行くわよ?」
「あ、待って下さい。自分送っていきます」
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