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まんまと部屋にあがりこんで。それなりに広く豪華なリビングに通された田辺の自宅で。
高そうなグレーのソファーに腰掛けた涼子は出されたお茶を遠慮なくすする。
それを、角を挟んで涼子の斜め左脇に座ったまま眺める田辺の瞳は不信感でいっぱいだった。
沈黙に耐えきれず田辺が口を開いていく。
「……天笠さんといいましたか? 今日は娘の話だとか? いや、それよりも、その汚らわしい写真……いったいぜんたいどういう話なんでしょう?」
田辺を見てニッコリと微笑んだ涼子がゆっくりと言葉を発した。
「さきほどは不躾に失礼を致しました。ですが、門前払いも困ってしまうものでああいいうやり方になってしまいました。お許し下さい……どうしても今日田辺さんとお話をしたかったんです」
黙る田辺を相手に言葉を続ける涼子。
「率直に言います。田辺さんはご存知かどうか。あなたの娘さんは今、脅迫をされています」
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