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「そうね……私は昔から一緒。何も変わっていない」
「…………」
黙る凛花に凛とした声で、涼し気な眼差しを送りながら。
「私はね、美味しい料理をたらふく食べて上等なお酒を好きなだけ飲んで、食後にする一服。その瞬間だけが心底楽しい時間なの」
そう言って凛花をもう一度見てパチリと片目を瞑った涼子。
「他の事は人生のオマケ――これだけは覚えておいてね?」
と。
いきなりの挙動に茶色の瞳をまん丸にした凛花がこちらも負けず劣らず唐突に。とめどなく笑い始める。
ひとしきり笑ってのちに。
「ふふふ、笑った笑った」
そう言いながら呼吸を整えるように大きく息をついて。
「それは間違いないわね」
「ふふ、間違いないでしょ?」
そう言い合った二人。
見合わせた顔を同時に緩めて今度は大声で笑いあった。
盛大なその音に導かれるように部屋の襖が開いて。
「失礼します」
注文をした上等なお酒。
そのお銚子がテーブルへとゆっくり並べられていった。
第一話 天の邪鬼の凛
【完】
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