最終章 二人の結論

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   すぐ次に移り変わる束の間のニュースでも見る人によっては貴重な情報なんだというのを改めて感じながら。  涼子は今度こそ餃子を頬張る。  口をモグモグと動かしている時に。既に中華丼を食べ終えてお茶を飲んでいた康介が言った。 「今のニュース……」  ゴクリと喉を鳴らして咀嚼していたものを胃の奥へ押し込んだ涼子が水を飲み返答した。 「ん……? なんか製薬会社が合併するみたいね」 「じゃあ、段取りはうまくいったんすかね?」 「段取りねぇ……。企業間の事情は私にはわからないわよ。お互いにそこと組むメリットが大きかっただけじゃないの?」  なんの感慨もなさそうにそう言って再び皿に手を伸ばす涼子。  それに対して康介は言った。 「そうでしたっす。まぁ、自分らにはなんの関係もない事だったっす」 「そういう事。それよりも。私は今、目の前の味噌ラーメンに夢中なわけよ」 「ハハハ。間違いないっす」  しばらく毎日の食事と同じく好きなモノを堪能した涼子はテーブルに置いた煙草に手を伸ばした。
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