28人が本棚に入れています
本棚に追加
/170ページ
水曜日の午後9時32分、居酒屋『よろこんで』は、一日のうちの客入りの、ピークを迎えている。
「店長、料理のトッピングに使うミントが切れたらしいです!
なしでいきますか!?」
騒々しい店内、際立って目立つのは新人の仕事のできなさだ。
「そうだな、仕方ない。代わりに別のミントっぽいものを乗せておけ!」
水曜日ならそれほど忙しくないと踏んで、新人をこの日に入れるシフトを組んだのだろう。
「わかりました!」
予想外の客入りに"よろこんで"いるのは店長だけ、その他のバイトからすれば、全ての客が迷惑でしかない。特に、新人からすれば。
「待ってください!」
しかし、新人の中にも、ほんのごくごく少数ではあるが、真面目に真っ正面から立ち向かう者だっている。
「メニューと違う料理を提供する気ですか!
お客様がミントを食べたがっているとしたら、がっかりするじゃないんですか!?」
そう、俺のような。
最初のコメントを投稿しよう!