プロローグ

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満員電車の窮屈さは、どうしても嫌なことを思いださせてくる。 そして、より悲観的に思考が回ってしまう。 結局、もう二度と『よろこんで』に働きに行くことは、なくなってしまった。 揺れて動くサラリーマン達の顔が、全て店長のように見えてしまう。俺は謝らなければならなかったのか。 見渡すかぎりの店長、店長、店長。酔うはずのない電車内で、柔らかい腹痛が俺を襲い始めた。 しかしふと、1人の店長が手に持って読んでいたものが視界に入った。 忘れていた、今日は水曜日。『週間美少女チョップ』の発行日である。 チョップはフリーターの俺にとって数少ない癒しのうちの一つ、コンビニでチョップ内全ての漫画を立ち読みしたうえで、それを買って帰って部屋に並べる。 あの漫画はどこまで進んだんだろうか、と考え始めると、車内の店長たちは皆、疲れ切ったサラリーマンの顔へと戻って行った。
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